エドワード親書 2016年4月号

この春の雑感

3月13日に岡山で、4月9日に東京で、それぞれ魔笛を公演しました。
パンフレットへのごあいさつにも書いたかもしれませんが、魔笛は当会の原点、と言ってもいい作品です。
1976年当会の前身となるグループ潮の名前で旗揚げ公演も魔笛でした。

なぜ魔笛が好きなのでしょう?皆さんも好きですか?
ここにあるいろいろな音楽が美しい、どんな人間にもそれなりに与えられた道があるという考え、こんな宝(歌)があれば世界が仲良くなれるというテーマソングーーー、などといろいろ考えられますが、皆さんはどこに魅力を感じますか? エドワードの台本、訳詞、演出が素晴らしいからだ!と誰か言ってくれませんか?(笑ってください)

魔笛岡山公演

3月13日のオペラプラザ岡山の魔笛。
また魔笛か、という声を跳ね飛ばし、やっぱり魔笛はよかった、と我々もお客様も実感されたのではないでしょうか?
今回は夜の女王以外は助っ人も呼ばず、メンバーだけでやれたこともよかったと思います。

力不足、練習不足は、簡単な課題ではありませんが、それぞれがそれぞれに出来ることを精一杯やっていた、という雰囲気がよかったですね。
しかし技術面では、やはり発声が何より大切です。レッスンを何度か重ねてよくなってくる様子は嬉しいのですが、付け焼刃は付け焼刃でしかないですね。だから、自信をもって歌えるようしっかりした歌唱力をまずつけましょう。重荷にならない一生の宝になりますよ。

歌唱力のおおもとは発声。発声が自由になればどんな歌い方もできるようになり、自分の歌いたいように歌えるようになる、いいですよね?発声が思うようにいかなければ、本当はこう歌いたいのにそう歌えないのは困りますよね。
後は、歌っているみんな一人一人の人柄ですね。舞台に立つ、ということは自分の本質迄さらけ出していることに気づいていますか?怖いぞーーー。なんて脅かすつもりはないのですが、まあ、一生懸命にやっている姿は誰もに好感を持たれ愛されるでしょう。

タミーノの福間君の努力と成長ぶりは、素晴らしかった。
パミーナの篠原さんも、思った通り苦労もしましたが、それ以上にお姫様への努力をおおらかに彼女らしくしてくれました。
心配していた宇高君のパパゲーノも頭の回転ばかりが目立つのではなく、今回は一生懸命さが光っていました。
相手の広瀬さんも、今までにない元気な老婆を楽しく演じてくれ、大いに楽しめました。
ダーメたちも、それぞれ工夫して最後はやっと纏まって来ていましたね。衣装に凝りたがるのは岡山のカラーですから、それはそれで楽しめました。
ザラストロの田辺さんも本当に大変だったと思いますが、よく頑張って覚えてくださいました。
夜の女王の石多加代子は、まあ、あんなものでしょう。皆さんも何か学べましたか?舞台道具や衣装運搬で長崎からの往復、誰かさんに運転までさせられてご苦労様でした。そのあとも、荷物の積み下ろしや、衣装の干し直しなど、苦労は想像いたしますまい。僕が叱られるだけですから。
クナーベ達も楽しみでなりません。発声にまだ癖がないのでこれから大いに成長してください。

男たちのアンサンブルも心配でしたが、まあ面白くなってホッとしています。
合唱だけのみんなも、出来る範囲で頑張ってくれてありがとう!
そして、何より猿。二人のベテランはもちろんですが、新人の藤井さんもみんなの期待を受けて、一皮むけた演技になり、よかったね。
指揮の萩原君も、回を重ねるたびに音楽が深まって来てなってきていて、これからも大いに楽しみにしています。たばこを控えめにして心と体を休めてくださいね。
助っ人のヨッシーもいろいろありがとうございました。
でも、成功の主因のひとつはやはり子供たちかな?のびのびと自由にこれからも羽ばたいてください。
バレーの子たちも寸前の練習しかできず大変でしたが、やはりかわいかったですね。
オケの皆さんも、離合集散もあるでしょうが、このオペラプラザの場を上手く楽しんでください。

岡山では、僕も広瀬さんの手のひらで転がされ続け、楽しく練習させていただき本当に幸せだと思っています。みんなを鼓舞して、更にさらに楽しいオペラ活動が出来るよう、老体に鞭打ち続けたいーーーーー。

魔笛岡山公演

4月9日は東京で。
何といってもこちらは蔵田キッズが目立ちましたね。
僕とも、もう4回目の共演になる子もいて、今やもうオペラプラザ新宿になくてはならないみんなになってしまいました。甘やかすつもりはありませんが、のびやかに生き生きと歌い演じる姿こそ、最高のキッズです。細かい演技をしっかり覚えて舞台に立つのも楽しいけど、一見野放しのように自由に遊びまわる姿は、お客様には堪らないでしょうね。ある程度の約束事を理解できるみんななので、そこからはみんながどんなに羽ばたけるか、僕の目指す世界はここから始まるように思います。うまく導きたいな。

そして、お母さま方のありとあらゆるところからの大変なご支援。脱帽だけです。蔵田キッズのこれからはバラ色に輝いているよう。なんて書くと、あまりに嘘っぽいので、冷静に見つめ直すと、子供たちにある可能性をどう開花してもらうか?言うまでもなく大きな課題です。子供にも、いい子、悪い子、変な子、可愛い子、ふざけた子、などいろんなのがいるから、どんな指導が適切か、それを見極めるのが味噌でしょうね。
僕は自分も、ご覧のとおり子供みたいなものですから、どう指導したらいいかなど難しいことは分かりませんが、こんなに音楽って、歌って、お芝居って、楽しくやれるんだ、というところは子供たちにも見てもらえてるかなと秘かに思っています。それから先どんな道を選んでゆくかは、子供たちに任せるだけかな。 はじめは、こいつらをどう料理してやろうか、とさえ思いましたが、どんどん良くなってきて、さすが蔵田キッズと仲間たち(お母さんたちのこと)の底力が発揮された感じでした。
実を言うと、親しくじゃれついてくる何人かの子、ちょっとしっかり者になってきた娘たち、小生意気な悪ガキから凛々しい若者になる寸前の男の子たち、もう可愛くて仕方なくなってきました。彼らとの出会いを作ってくださった大元の蔵田ご夫妻には一生頭が上がりません。

蔵田先生のタミーノはさすがに貫禄が充分なのですが、パパゲーノを仲間のように思って、たしなめてくださる様子がとても新鮮で面白かったです。
パミーナの杉山さん。よかったね。みんなから愛されて僕もとても嬉しいです。これからもまたいろいろアドバイスさせてください。
夜の女王さんも名古屋からよく頑張って歌いに来てくれました。お客様も喜んでくださり、本当によかったですね。
幸さんのザラストロもだんだん気合が入って来てよかったですよ。
パパゲーナの吉里さんは、適役で楽しかったですね。いつもああして役に向かう真摯な姿勢はとても好感が持てます。
モノスタトスの結城さん、ご苦労様でした。この次はもっと活躍していただきたいですね。
ダーメの三人。それぞれ、まったくと言っていいほど違うキャラクターが集まった感じでしたが、結果として纏まって来て、お客様も大いに楽しんでくださいました。
クナーベの三人。なかなか三人が集まって練習できず心配でしたが、まあ何とかなってよかったね。キッズが加わった初めの二曲は歌いづらかったかも知れないけど、まあお客様もあんなに喜んでくださったし、あれはあれで良しとしてくださいね。三曲目の僕の一番好きなパミーナとの4重唱では、力を発揮できたのではないでしょうか?池田さんの声はよく通って印象的でした。
男声4重唱は、福間、野村、本間、仲井君たち。声に力のある人たちだったので当然ですが、なかなかの迫力になって聴きごたえがありました。11番が面白くて面白くて、今も思い出して笑いが吹き出しそうです。

合唱だけ参加の皆さんも、練習から魔笛を楽しんでくださっているのがよくわかり、ずっと皆さんの様子を微笑ましく拝見していました。舞台転換などでは、当日助っ人に来てくれた仲間も含め、スムーズにできて、何か頼もしく思いました。公演を重ねるうちにこうして、いい仲間とともに力をつけあってゆくのでしょうね。岡山のみんなもそうです。
野崎真琴のエレクトーン伴奏。さすがになれていて手堅い伴奏でした。いろいろあっても一応安心していられるのは大きいですね。夢乃の成長も目覚ましいです。
演出助手にしてしまったヨッシーもご苦労様。
そして、当会のプリマドンナともいえる石多加代子には、なんと舞台監督をさせてしまいました。申し訳ありませんーーー。でも、ありがとう!
パパゲーノ?あの人のことはもう僕にも分かりませんからほっておきましょう。
理解不能な人ですね。もうよせばいいのに〜〜をやっぱりやっていました。呆れるしかないですね。

今回から、歌手でありながらオペラプラザ新宿の事務局を一手に引き受けてくださっている田村さんに深く感謝します。新宿の皆さんは上手く役割分担して協力体制をうまく整えてくださいね。自分に出来ることを何でも申し出てくださればいいのです。

春には、いろいろな出会いと別れがあるものです。
皆さんと一緒にオペラを楽しめる今のこの時を、精一杯燃えましょう!
僕は皆さんが好きでこうしています。
オペラで皆さんと元気に!この気持ちだけしかありません。
今回もご苦労様、そしてありがとうございました。
「こんな魔法の鈴(歌)があって、世界中の人たちがみんな幸せになれたらどんなにいいでしょう。」

これから、高山右近と天空の町に集中します。
私のオリジナル作品、さてどうなってゆくのでしょう?
それは、もしかして皆さんの思い一つにかかっているのかも知れません。
なんてねーーー。

熊本県には私の知人が多くいます。私のおじいさんも天草出身。日本は地震大国ですから仕方ないのかも知れませんが、こういうことから自然のメッセージを感じ取ってしまいます。
どこまでも謙虚でいなさい。しかし諦めてはだめだ!

ではまた、気が向いたときに手抜きの親書を。


2016年4月18日
東京への新幹線の中で

 皆様のエドワード