音 楽 劇
残された微笑みーある死刑囚最後の朝に
加賀乙彦原作、石多エドワード台本・作曲
企 画 趣 旨
「凶悪」事件が続いて報じられる中、
何故このような酷い罪を犯すのか!現代の社会はどうなってしまうのか?
今、このような危機感を多くの方々が抱いていらっしゃることと思われます。
すでにいろいろな論議が飛び交う中、解決の道も探られているようです。
私たちもオペラという形でひとつの光を見いだしたく、
心有る皆様のご支援を頂きたいと願い、この作品を企画いたしました。
オペラといいますと、欧米のモノマネで豪華な雲の上のもの、といった印象をお持ちの方がまだまだ多いことかと思われますが、この作品は演劇にクラッシク的な美しい歌と音楽を加えた、誰にも身近な、いわば《音楽劇》といったものを目指しております。
今回は鈍器奉天という筆名でこの台本を書かせて頂きました。
作曲の方はまだどうなるか未定ですが、私自身も付曲を試みております。
さて、このオペラの主人公のモデルはメッカ殺人事件の正田昭です。
彼のことは加賀乙彦氏の「宣告」という小説でも
主人公として取り上げられておりますので、ご存じの方も多いことかと思います。
人間は、なぜ弱く危険な存在となり、こんな酷い罪を犯してしまうのか、
社会は、なぜ弱い人たちを犯罪に導いてしまうのか、
殺された人の遺族はそれからどんな気持ちで生活をおくるのか、
死刑囚の家族はどんな重荷を一生背負って行くのか、
死刑執行人はその時、どんな精神状態で執行するのか、
死刑囚は毎日、執行の恐怖とどのように闘っているのか、最後の時は……
このようなことが、この作品で描かれることでしょう。
美しい、あまりにも美しい音楽が、関わる人々の気持ちを歌ってゆきます。